
生まれつきの変形
生まれつきの変形
口唇裂・口蓋裂とは、胎児の顔が形成される妊娠初期(6~10週ごろ)に、上唇や口蓋(上あごの天井)がうまく結合しないことで生じる先天性の疾患です。
口唇裂は上唇に裂け目がある状態で、片側(片側性)または両側(両側性)に起こることがあります。口蓋裂は口の中の上部(口蓋)が裂けて、口と鼻がつながっている状態をいいます。これらが同時に現れることもあり、その場合は「唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)」と呼ばれることもあります。
外見だけでなく、哺乳・発音・嚥下・聴力・歯並び・心理面など、こどもの成長に下記のようなさまざまな影響を及ぼす可能性があります。
これらの症状に対しては、見た目の修復だけでなく、機能の改善と社会生活の支援を目的とした包括的な治療が必要です。
口唇裂・口蓋裂の治療は、お子さまの発育段階に合わせて計画的に進めていきます。
以下は一般的な治療のスケジュール例です。
年齢 | 主な治療内容 |
---|---|
新生児期〜 | 哺乳指導や口蓋床(人工乳首やスプリント)によるサポート |
生後3〜6ヶ月頃 | 口唇形成術(唇の修復手術) |
1歳前後 | 口蓋形成術(口蓋を閉じる手術) |
3〜5歳頃 | 構音訓練(言語聴覚士による指導)、必要に応じて追加手術 |
6〜12歳頃 | 歯科矯正、顎裂部骨移植術(顎の骨を補う手術) |
中学生以降 | 鼻や唇の仕上げ手術、心理的サポートなど |
※個人差があるため、治療の時期や内容は患者様ごとに異なります。
※基本的に全身麻酔での手術となるため、関連病院で他科と連携しながら治療を進めていくことになります。傷の経過は当院で継続して診ることが可能です。
一部のケースでは家族歴がありますが、多くの場合は原因が特定されず、遺伝以外のさまざまな要因が複雑に関係していると考えられています。
多くの場合、適切な手術と言語訓練により、ほぼ正常な発音が可能になります。個人差があるため、継続的な評価とサポートが大切です。
はい。成長に合わせた治療が必要なため、思春期〜成人期まで継続的に診ていく必要があります。
小耳症(しょうじしょう)は、生まれつき耳の形が小さく変形していたり、耳がほとんど形成されていなかったりする先天性の疾患です。
片側だけに起こる「片側性」が多く見られますが、まれに両側に起こる「両側性」もあります。
多くの場合、外見的な異常(耳介の欠損)に加え、聴力の障がい(外耳道閉鎖や中耳奇形)を伴うことがあります。聴力の問題は言語の発達にも影響を与えるため、早期の対応が必要です。
お子さまが社会に出るまでの間に、聴力の確保と外見の回復の両方を意識した対応が重要です。
手術は入院、全身麻酔が必要となるため、関連病院への紹介となります。術後の経過は当院で継続して診ることが可能です。
耳介再建術
自家肋軟骨移植法
自分の肋骨の軟骨を使って耳の形をつくる方法。6歳以上で軟骨が十分成長してから行います。2〜3回に分けて手術を行います。
聴力の補助
耳鼻咽喉科と連携し、治療法を検討します。
聴力や見た目の影響があるため、片耳でも治療を検討することが一般的です。
自家肋軟骨法では6歳前後、人工素材を用いる場合は5歳頃からの手術が可能です。
多指症(たししょう)は、通常よりも多くの指が手や足に形成されている状態、合指症(ごうししょう)は、2本以上の指が皮膚や骨によってくっついている状態を指します。
どちらも手足の形に異常が見られる先天性の疾患で、日常生活の動作や機能に影響を及ぼす可能性があります。
手の機能と見た目の両方を整えることが、将来の社会生活・学校生活への支援にもつながります。
多指症・合指症は入院、全身麻酔が必要となる為、関連病院へ紹介することになります。術後の経過は当院で継続して診ることが可能です。
年齢 | 主な治療内容 |
---|---|
新生児期〜 | 診察、画像検査(X線)で骨の状態を確認 |
生後6ヶ月〜1歳前後 | 手術の適応を判断・実施(多くはこの時期に行われます) |
術後 | 経過観察を継続します。必要に応じて画像検査、リハビリテーションを行います。 |
一般的には1歳前後が目安です。ただし指の状態によって時期は調整されます。
手術後の成長とともに、再手術が必要になることがあります。術後の経過観察の継続が大切です。
TOP